Google広告を運用していると、スマホだけ成果が良い、逆にPCの問い合わせが強いなど、デバイス差に悩む瞬間が必ず来ます。
その差を運用に反映する代表的な手段が、デバイスごとの入札単価調整比としてのデバイス調整です。
ただし入札戦略やキャンペーン種類によっては、想定どおりに効かなかったり、そもそも調整が制限されたりします。
本記事では、設定場所、仕組み、分析の見方、そして失敗しやすい落とし穴までを、実務の流れで整理します。
迷いがちなポイントを順に潰していけば、デバイス差を根拠ある改善施策に変えられます。
Google広告のデバイス調整はどこで設定する?
デバイス調整は、配信面の最適化というより、入札の重み付けを変えるための操作です。
設定場所は管理画面のデバイス一覧で、基本は数値を入力して保存するだけです。
ただしキャンペーン単位と広告グループ単位で優先順位が変わるため、構造を理解してから触ると安全です。
デバイス調整が動かすもの
デバイス調整は、広告の表示回数そのものを直接指定する機能ではありません。
実際に変わるのは、オークションで競るときの入札の強さであり、結果として露出やクリックが増減します。
同じキーワードでも、モバイルで検索されたときだけ強く入札して表示機会を増やす、といった使い方が基本です。
クリック後の体験がデバイスで大きく変わる商材ほど、調整の効果と副作用が出やすくなります。
キャンペーン単位で設定する場面
まず迷ったら、キャンペーン単位での調整から始めると全体の癖が掴みやすいです。
配信対象が同じで、LPや訴求が共通なら、デバイス差も共通要因として扱えることが多いからです。
キャンペーン単位で調整しておけば、配下の広告グループが増減しても方針がぶれにくくなります。
一方で、広告グループごとにLPや訴求が分かれる構造では、粒度が粗すぎて逆効果になることもあります。
広告グループ単位が優先されるルール
同じキャンペーン内で、キャンペーンと広告グループの両方にデバイス調整を入れることができます。
このとき同一デバイスに対しては、広告グループ側の調整が優先されるため、局所最適に向きます。
ただしキャンペーン側で特定デバイスを100%引き下げている場合は、そのデバイスに広告グループの調整は効きません。
意図せず配信が止まっているときは、優先順位より先に100%引き下げの有無を疑うのが近道です。
デバイス一覧へたどり着く手順
管理画面の左側メニューから、対象のキャンペーンを開いて設定対象を絞ります。
次にデバイスを選ぶと、パソコン、モバイル、タブレットなどの行が並ぶ一覧が表示されます。
一覧には入札単価調整比の列があり、ここがデバイス調整の入口になります。
画面構成は更新されることがあるため、見当たらない場合は検索ボックスでデバイスを探すと早いです。
調整比を入力して反映させる流れ
入札単価調整比の列で、変更したいデバイスの値を編集します。
増やしたい場合はプラス、抑えたい場合はマイナスの割合として入力します。
入力後は保存を忘れると反映されないため、変更履歴が残る形で確定させます。
変更した直後は学習や配信配分が揺れることがあるため、短時間で連続変更しないほうが安定します。
特定デバイスの配信を止める方法
特定デバイスの入札単価調整比を100%引き下げると、そのデバイスには広告が表示されません。
これは単に弱めるのではなく、実務上は配信停止に近い強い操作です。
想定と違う成果が出たときのために、なぜ止めたかの理由をメモしておくと復旧が早くなります。
停止の代替として、LPや広告文をデバイス最適化するだけで改善するケースも多いです。
変更後に見るべき確認ポイント
反映後は、クリック単価だけでなく、表示回数、クリック率、コンバージョン率の同時変化を見ます。
入札を上げると露出が増えやすい一方で、クリックの質が落ちてCPAが悪化することもあります。
逆に入札を下げると、質は維持されてもボリューム不足で機会損失が増えることがあります。
成功の判定は一指標ではなく、目的に沿った主要KPIの合算で行うと判断がぶれません。
デバイス調整が効く仕組みを押さえる
デバイス調整は割合指定なので、基準となる入札がどこにあるかで影響の大きさが変わります。
また調整比には上限下限があり、複数の調整が重なると計算のクセも出ます。
仕組みを理解しておけば、思ったより効かない、効きすぎた、といったズレを減らせます。
入札単価がどう変わるかの計算
デバイス調整は、基準の入札単価に対して割合で増減させる考え方です。
たとえばモバイルを20%引き上げると、同じ条件でもモバイルだけ入札が強くなります。
計算が頭に入っていると、変更幅を控えめにするべきか大胆に動かすべきかの判断が速くなります。
特に高単価キーワードでは、数十%の調整でも日予算に与える影響が大きくなりがちです。
| 基準CPC | 100円 |
|---|---|
| モバイル調整 | +20% |
| モバイルの入札目安 | 120円 |
| PC調整 | -10% |
| PCの入札目安 | 90円 |
調整比の許容範囲
デバイス調整は、引き下げは100%まで、引き上げは900%までという広い範囲で設定できます。
ただし広い範囲が使えるからといって、最初から大きく振るのはリスクが高いです。
まずは小さめの変更で傾向を確認し、根拠が固まったら段階的に調整すると失敗しにくいです。
停止したい意図がない限り、いきなり100%引き下げにする判断は慎重に行うべきです。
- 引き下げの下限は-100%
- 引き上げの上限は+900%
- -100%は実質的な配信停止
- 小幅変更から段階調整が安全
複数調整が重なるときの上限感覚
デバイス以外にも地域や曜日などの調整が重なると、実際の入札は掛け算で増減します。
その結果、意図せず高すぎる入札になったり、逆に下げすぎて配信機会が減ったりします。
複数調整を多用する運用ほど、変更幅は小さく刻んだほうが管理しやすくなります。
調整の合計で上限が働くため、極端な数値を重ねても思ったほど伸びない場合もあります。
デバイス別に設計する基本方針
デバイス調整は、成果が良いデバイスを強くするだけが正解ではありません。
問い合わせはPCで強いが、資料請求の入口はモバイルが強いなど、目的で評価軸が変わります。
最終成果だけでなく、途中の行動や商談化率まで含めて評価できると調整が安定します。
デバイス差がLPの表示速度やフォームの入力負荷に起因するなら、入札より先に体験改善が近道です。
自動入札ではデバイス調整が制限される
Google広告では自動入札が主流ですが、その場合は手動のデバイス調整が期待どおりに働かないことがあります。
自動入札はオークションごとに多くのシグナルを見て入札を最適化するため、手動調整が不要という設計だからです。
どの戦略なら触れるのか、触れないのかを把握しておくと、原因不明の効かない調整を減らせます。
自動入札が見るデバイスという信号
自動入札はデバイスを重要な信号として扱い、ユーザー状況に応じて入札額を変えます。
つまりデバイス差があるとき、自動入札はすでにその差を織り込んでいる可能性があります。
この前提を無視して手動で上乗せしようとすると、意図せぬ高騰や学習の乱れが起きやすいです。
まずは入札戦略の役割分担を明確にして、どこを手で触るべきかを決めるのが合理的です。
- デバイスを含む多信号で入札最適化
- ユーザー文脈ごとに入札が変動
- 手動調整が不要な設計思想
- 触る前に戦略の適用状況を確認
入札戦略ごとに変わる扱い
スマート自動入札系の多くでは、個別の入札単価調整はサポート外になりやすいです。
また目標アクション単価のように、デバイス調整を入れると入札単価ではなく目標値側が調整される場合があります。
その結果として、調整したのにCPCが変わらない、という見え方になるケースもあります。
まずは現在の入札戦略名を確定させ、デバイス調整がどの形で扱われるかを把握してから実行します。
| 入札戦略の例 | 手動CPC |
|---|---|
| デバイス調整の自由度 | 調整比を広く設定 |
| 入札戦略の例 | クリック数の最大化 |
| デバイス調整の自由度 | 調整比を設定 |
| 入札戦略の例 | 目標CPA |
| デバイス調整の自由度 | 目標値側の調整に寄る |
-100%だけ許容されるパターン
自動入札では、デバイス調整が-100%の配信停止のみ許可されるケースがあります。
これは最適化の自由度を残しつつ、明確に外したいデバイスだけを除外できる設計です。
逆に言えば、少しだけ弱めたいという調整を入れても反映されない可能性があります。
効かないと感じたら、仕様の問題か設定場所の問題かを切り分けると解決が早くなります。
手動寄りの調整が向く状況
コンバージョン計測が不安定で、自動入札の学習が進まないときは、手動の調整が効きやすいことがあります。
またBtoBで、明確にPCの問い合わせが強いなど、デバイス差が安定している商材も相性が良いです。
一方で短期キャンペーンや季節変動が大きい領域では、固定の調整比が逆に足を引っ張ることもあります。
最適解は入札方式だけで決まらないため、計測品質と市場変動の大きさも一緒に評価します。
デバイス別の成果を正しく読む
デバイス調整を成功させるには、調整前の現状把握と、調整後の変化観察が欠かせません。
見たい指標は商材で変わりますが、最低限の見取り図を作れば判断が安定します。
感覚で触るのではなく、数字の動きから仮説を立てて小さく検証する流れが最短です。
見るべき指標の並べ方
デバイス別に見るときは、量の指標と質の指標を分けて観察します。
量は表示回数やクリック数で、質はコンバージョン率や獲得単価などで把握します。
クリック率が高いだけで調整を上げると、クリックは増えても成果が伸びないことがあります。
目的が問い合わせなのか購入なのかで、重み付けする指標を先に決めておくと迷いません。
- 表示回数
- クリック数
- クリック率
- 平均CPC
- コンバージョン数
- CPA
判断の基準を作るための整理表
デバイス別の判断は、絶対値だけでなく差分で見ると一気に分かりやすくなります。
たとえば同じCPAでも、ボリュームが小さすぎれば伸びしろがある可能性が高いです。
逆にボリュームが大きいのにCPAが悪いデバイスは、入札を下げるか体験を改善する候補になります。
次のような整理表を作り、どのデバイスを伸ばすのかを先に決めてから調整を入れます。
| 観点 | 量 |
|---|---|
| 見る指標 | 表示回数 クリック数 |
| 観点 | 質 |
| 見る指標 | CVR CPA |
| 観点 | 効率 |
| 見る指標 | 費用 CV数 |
コンバージョン計測が弱いときの代替
計測が未整備だと、デバイス調整は当てずっぽうになりやすいです。
それでも最初の一歩としては、フォーム到達や電話タップなど、より手前の行動を代替指標にできます。
ただし代替指標は最終成果とズレることがあるため、あくまで暫定の判断材料として扱います。
長期的には計測を整えたほうが、調整の精度と再現性が上がり、運用コストも下がります。
セグメントの使い方で見え方が変わる
同じデバイスでも、検索語句や時間帯で成果が分かれる場合があります。
デバイス差が大きいときほど、どの条件で差が生まれているのかを掘る価値があります。
たとえばモバイルは夜に強いが昼は弱いなど、条件が分かれば調整の方向性がはっきりします。
デバイス調整だけで解決しない場合は、広告文やLPのデバイス最適化と組み合わせると改善が進みます。
失敗を避ける運用のコツ
デバイス調整は簡単に触れますが、簡単に大きな損失にもつながる操作です。
特に自動入札の制約、停止設定、複数調整の重なりは、見落としがちな落とし穴になります。
安全に効果を出すための手順と注意点を、実務で使える形に落とし込みます。
小さく動かして学習を乱さない
最初から大幅に上げ下げすると、配信配分が急変して評価が難しくなります。
少し動かして反応を見て、次にまた少し動かすほうが、因果が追いやすいです。
特に日予算が小さいキャンペーンでは、ブレが大きく見えやすいので慎重さが重要です。
変更のたびに日付と意図を残しておけば、振り返り時に改善速度が上がります。
100%引き下げは復旧手順まで決める
配信停止は強力ですが、想定外の機会損失を生むこともあります。
停止するなら、停止理由、復旧条件、復旧の期限を先に決めておくと判断が鈍りません。
停止後は、残ったデバイスに費用が寄るため、CPAが改善したように見える錯覚も起きやすいです。
全体の獲得数と機会損失まで含めて評価しないと、誤った成功判定になります。
タブレットの扱いで成果が歪む
タブレットは母数が小さいことが多く、短期間の数字だけで判断するとぶれやすいです。
またモバイルに近い体験と思い込むと、実際のユーザー行動との差で成果が噛み合わない場合があります。
タブレットの調整は、明確な差が出たときに限定して触るほうが安全です。
迷う場合は、タブレットのLP体験や入力フォームの負荷を先に確認すると納得感が出ます。
- 母数が小さくぶれやすい
- 体験はモバイルと一致しない場合がある
- 短期判断を避ける
- LPの表示崩れを先に確認
キャンペーン種類でできることが変わる
デバイス調整はキャンペーン種類によって利用可否が異なり、全てで同じようには使えません。
対応していない種類に近い挙動のときは、設定を探し続けるより先に仕様を疑うほうが早いです。
またP-MAXのように自動化が強い種類では、デバイス調整よりクリエイティブと計測の整備が優先になります。
運用前にこの差を理解しておけば、時間と学習データの無駄を減らせます。
| 確認ポイント | キャンペーン種類 |
|---|---|
| 見る場所 | 設定 入札戦略 |
| 起きがちな症状 | 調整が表示されない |
| 対処 | 仕様確認 設計変更 |
入札だけで解決しないときの打ち手
デバイス差の原因が、入札ではなく体験にあるケースは多いです。
たとえばモバイルのフォームが長い、電話導線が弱い、表示速度が遅いなどは入札では埋まりません。
広告文の訴求もデバイスで変えると、クリックの質が整って調整比を小さくできることがあります。
デバイス調整は最後の一手ではなく、体験改善と併走させると効果が積み上がります。
迷ったときのデバイス調整の進め方
最初に入札戦略が手動寄りか自動寄りかを確定し、デバイス調整が効く前提を揃えます。
次にデバイス別の量と質の指標を並べ、伸ばすべきデバイスと抑えるべきデバイスを決めます。
調整比は小さく始め、変更日と意図を残しながら段階的に寄せていきます。
-100%の配信停止は強力なので、停止理由と復旧条件までセットで扱うと事故が減ります。
入札で埋まらない差が見えたら、LP体験や計測の整備を優先してから再度調整を行います。

